1.就労移行支援事業所
障害のある人の一般事業所への就職をサポートする通所型の福祉サービスです。身体障害、知的障害、精神障害の他に発達障害や難病の人も対象とし、手帳の有無にかかわらず、医師の診断や自治体の判断など就職に困難な人が利用できます。サービス内容は事業所によって異なりますが、仕事に関する知識やスキルアップ、就職活動のサポート、就職後に長く働き続けられるよう職場への定着支援も行っています。
2.就労継続支援A型・B型事業所
通常の事業所への雇用が困難な障害者に就労の機会を提供するとともに、生産活動その他の活動の機会の提供を通じて、その知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。雇用契約を結び利用する「A型」と、雇用契約を結ばないで利用する「B型」の2種類があります(B型の利用者数はA型の約5倍で、両方ともサービス報酬費には税金が用いられています)。
A型で支払われる賃金は、全国平均で約7万6千円/月(約846円/時給)です。
B型で支払われる工賃は、全国平均で約1万6千円/月(約214円/時給)です。
(平均賃金、工賃は、平成30年度厚生労働省調査より。地域や仕事内容により異なります。)
障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス
就労移行支援事業所
利用期間
2年間
対象
65歳未満の障害者(難病のある人も含む)で、通常の事業所に雇用されることが可能と見込まれる者
事業概要
①生産活動、職場体験等の活動の機会の提供、その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練
②求職活動に関する支援
③適性に応じた職場の開拓
④就職後における職場への定着のために必要な相談等の支援
就労継続支援A型事業所
利用期間
制限なし
対象
通常の事業所で雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が可能と思われる者
事業概要
①雇用契約の締結等による就労の機会提供
②生産活動の機会の提供
③その他の就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練等の支援
就労継続支援B型事業所
利用期間
制限なし
対象
通常の事業所で雇用されることが困難で、雇用契約に基づく就労が困難と思われる者
事業概要
①就労の機会の提供
②生産活動の機会の提供
③その他の就労に必要な知識及び能力向上のために必要な訓練等の支援
④その他の必要な支援
事例11 就労移行支援を受けたA氏
A氏(男性、20歳代)は、難病による軽度発達障害(手帳無し)がありましたが、一般就労(フルタイム勤務の正規社員)を目指していました。これまでに就労経験はほぼ無く、社会マナーや周囲の人たちとのコミュニケーションに不安があるため、就労移行支援を受けました。
A氏への就労移行支援
- A氏の「事務職での一般就労を目指したい」という希望により、パソコンのスキル向上プログラムを選択。
- 社会人としてのマナーや社会常識に関する訓練。
- 協調性を身につけるためのグループディスカッション。
- 自分に合った職場環境を知るための、事業所見学や体験実習。
- 健康管理に関しては、支援員が定期的な面談を行うことで、体調面やメンタル面の安定を図った。
事例12 就労継続支援A型事業所を利用したB氏
B氏(女性、30歳代)は、これまでは一般就労で働いていました。しかし、その多くは体調を崩しやすく休みがちになるたびに、退職することをくり返していました。B氏は「無理なく働き続けたい」と希望し、障害者手帳(精神障害)の所持を開示し、短時間勤務での就労を考え、就労継続支援事業所を利用することになりました。支援員に勧められた余暇活動にも参加して心身のリフレッシュを心掛けた結果、体調が安定し、気持ちのコントロールもでき、就労継続に自信を持てるようになりました。
B氏への就労継続支援
- 仕事内容は体力的に無理がない軽作業を選び、勤務時間は短時間で調整した。
- 仕事以外の時間の過ごし方で心身のバランスを保てるように、余暇の使い方について助言した。
- 関係機関が実施している、余暇活動への参加を勧めた。