難病相談支援
連携お役立ちガイド

23.事業所(企業)における支援

1.事業主の法的義務

すべての事業主は、労働者の安全や健康を守る義務とともに、障害や病気のある人が職業人として活躍する努力に対して、協力し、公正な処遇を行う義務があります。

2.健康と安全を保持・増進する機能

病気や障害の有無にかかわらず、事業場には労働者の健康と安全を保持・増進する機能があります。
1つ目は制度、2つ目は産業保健活動、3つ目は健康支援の仕組みです。

①制度の利用と働きやすい環境づくりのための提案

人事制度には、有給休暇に加え、傷病休暇、育児・介護休暇など、一時的に療養や休息が必要になった場合に利用できる制度があります。有給休暇や傷病休暇も半日や1日単位で利用できる場合も多くあります。これらの制度の利用には、医師の診断書が必要な場合もありますが、まずは遠慮せず人事担当者に相談しましょう。

休職や欠勤による経済的な問題には、傷病手当金や高額療養費付加金が支給される場合もあります。会社の厚生課や健康保険組合などに問い合わせましょう。

また、フレックスタイム、短時間勤務、就業制限、在宅勤務など、さまざまな働き方により、体力的な問題や移動に関する問題が解決することもあります。現在、日本では「一億総活躍社会」「働き方改革」が始まり、多様な働き方で労働力を確保し、生産性を維持・向上することを目指しています。あなたにとって無理がなく、働きやすい環境づくりについて、産業保健スタッフなどに相談してみましょう。

②産業保健活動

業種にもよりますが、従業員が50人以上の事業所には、産業医がいます。また、従業員数に関係なく、産業看護職(保健師、看護師)のいる事業所(企業)もあります。彼らは、産業保健スタッフという従業員の健康と安全を守る専門職で、労働による健康障害の予防や、快適に働くことができる職場環境づくりを行っています。産業医や産業看護職が勤務先にいない場合には、職場の上司や人事・労務担当者がその役割を担っています。

活動内容

  • 従業員からの相談を受け、医療機関の担当医とコンタクトをとり、無理のない作業や働き方などを検討し、必要に応じて事業者や職場の上司に、就業上配慮すべき事項(業務量の調整や勤務形態の変更等)に関する助言や提案を行います。
  • 生活リズム記録票等を用いて体調や業務遂行に問題がないかを確認し、本人の就労継続をサポートします。
  • 職場の困りごとなどについても専門的な立場で助言を行います。

なお、産業医等産業保健スタッフが配置されていない労働者数50人未満の小規模事業場の事業者や労働者に対して、業務における健康面での不安、悩み及び活用可能な制度について相談できる独立行政労働者健康安全機構の地域窓口(地域産業保健センター)があります。また、事業者の相談を受ける産業保健総合支援センターが各都道府県に設置され、両者とも原則無料で相談できますので、ぜひ利用してください。

③健康支援の仕組み

産業保健スタッフの有無にかかわらず、毎年、健康診断が行われるなど、事業所には必ず健康支援の仕組みがあります。長期間の療養による休職からの職場復帰時に行う職場復帰支援や、健康状態に留意した配置転換などもその一つです。ひとりで悩まず、産業保健スタッフや、職場の上司や人事・労務担当者に相談しましょう。

事業所内での産業保健の支援体制

図:事業所内での産業保健の支援体制

④事業所と労働者のための相談支援機関(産業保健総合支援センターと地域産業保健センター)

産業保健総合支援センターと地域産業保健センターは、独立行政法人労働者健康安全機構が産業保健事業の一環で運営しているセンターです。

産業保健総合支援センター(対象:事業者、産業保健スタッフ)

各都道府県に1か所設置されており、主に、産業医、産業看護職、衛生管理者等の産業保健関係者を支援するとともに、事業者等に対し職場の健康管理への啓発を行うことを目的としています。
あなたの勤める事業所による健康管理と職業生活の両立を、担当者の研修や相談などを通して支援しています。
事業者や人事・労務担当者、職場の上司も、配慮したいけれども具体的な方法が分からない場合には、専門家と一緒に考えることができます。難病のある本人からも利用を提案してください。

各都道府県の産業保健総合支援センターは以下のURLより検索できます。
https://www.johas.go.jp/shisetsu/tabid/578/Default.aspx

地域産業保健センター(対象:小規模事業場の労働者、事業者)

従業員50人未満の小規模事業所やそこに勤務する労働者に対して「長時間労働者への医師による面接指導の相談」「健康相談」「個別訪問による産業保健指導の実施」「産業保健情報の提供」などを原則無料で行います。利用には予約が必要で、事業者、従業員両者とも利用できます。

以下で、最寄りのセンターを確かめ、予約をしてから相談しましょう。
https://www.johas.go.jp/sangyouhoken/tabid/333/Default.aspx

上記の両センターを運営する独立行政法人労働者健康安全機構の産業保健事業では、治療と職業生活の両立支援に力を入れており、復職時、就労継続における治療と就労の両立を支援する、両立支援コーディネーターを養成し始めています。

治療と職業生活の両立支援体制の確立

図:治療と職業生活の両立支援体制の確立

【目標】

「患者・家族」「医療側」「企業側」といった関係者間の仲介・調整を行い、治療方針、職場環境、社会資源等に関する情報の収集整理を行う等の役割を担うコーディネーターの配置・養成

3.職場で一緒に考えるコツ

難病は、同じ病気でも治療や経過が異なります。さらに症状は時間、気候や季節などで変動することもあり、本人が感じる辛さは外見からはわかりにくく、健康管理は簡単ではありません。このような状態でも、無理なく能力を発揮するためには、関係者と十分にコミュニケーションをとり、職場全体で一緒に働く仲間として業務調整を行うことが大切です。

従業員の意見を積極的に取り入れて業務改善に取り組むことは、一般的に行われていますが、難病のある人の仕事内容や業務調整も例外ではありません。業務担当者、上司、同僚等との個別の相談から、業務ミーティングまで、職場の状況に応じた労務管理の方法があります。

また、難病のある人は、体調が安定している時には、普通の業務を行うことができても、体調が崩れると休暇や仕事量の調整が必要となります。この場合、無理をしないように、体調が悪い時の低いレベルに仕事量を合わせるのではなく、体調の変動を前提として、その都度仕事量を調整する方が仕事も進み、職務に対する満足度も高めることができます。体調変化の兆しは、本人が予測できる場合が多いため、上司には、遠慮せず早めに仕事の調整を申し出るようにします。

4.長期休暇のための制度利用と職場でのあなたの役割

①長期休暇に必要な手続き

休暇制度、傷病手当金などの制度がありますので、職場の人事・厚生担当者に問い合わせ、早めに手続きをとります。休暇制度等の利用には、診断書の提出が必要になります。なるべく早めに人事担当者に連絡し、手続きについて相談します。診断書には、診断名に加え、おおよその休暇期間を担当医に記載してもらいます。

様式案(PDF:417KB)

②担当医に仕事や職場のことを相談する

担当医は、仕事や職場の状況が分かりません。仕事を続ける上で不安に感じていることや治療や健康管理で分からないことについて、担当医に説明・相談して助言を受けます。

③仕事の引き継ぎ

あなたが休暇をとることで、あなたの仕事を同僚が引き継ぐことになります。病状にもよりますが、できる範囲で仕事の申し送りをして、業務が滞らないように努めます。

休暇が長期になる場合は、職場全体の労務管理にも影響します。発症・診断直後で治療方針が確定していない場合には、担当医に病気の一般的な経過を確認し、時には入院計画書(担当医が作成)を提出して、ある程度の状況を正確に職場に伝えます(上司が仕事の調整をする際に役立ちます)。

④入院や在宅療養状況についての職場への報告

病気により長期休暇となった場合、勤務先の規定に基づき、上司や人事担当者に定期的に連絡を入れることを勧めます。
事業者や上司は、休暇中の従業員への連絡が療養の妨げになることを心配して連絡を控えることがあります。難病が重症であるというイメージから働けないと誤解している場合もありますし、過度な心配をさせないためにも病状が落ち着いたら、あなたから連絡を入れ、職場に復帰する意思を伝えることも大切です。
また、治療内容や回復の見込み、退院の予定、できなくなる業務がある場合など、病状と職場の状況を見ながら、必要な報告をします。これにより、上司の業務調整(労務管理)がスムーズになり、職場の負担の軽減に役立ち、職場復帰しやすい雰囲気づくりにもつながります。

⑤職場復帰の予定を立て、早めに行動します

病状が落ち着いてきたら、職場復帰の予定について担当医と相談し、「近い将来、職場復帰できそうか」「どのような体調になれば復帰できるか」などを確認します。上司には、「まだ決まったわけではないのですが・・・」と前置きをしてから、状況を伝えておくとスムーズに職場復帰ができます。

5.事業所(企業)・職場との協力:安全健康配慮義務と合理的配慮

平成20年3月に施行された労働契約法第5条は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」と、使用者の労働者に対する安全配慮義務(健康配慮義務)を明文化しています。

例えば、安全配慮とは、物理的な安全確保としてヘルメット着用の義務を課すなどです。また、健康配慮とは、「心身の健康を損なうことがないように配慮する」ことであり、安全配慮よりも幅広い配慮義務を求めています。健康配慮には一般的な定形がなく、個々のケースやそれぞれの環境に応じて行われます。

①安全・健康配慮義務

難病のある人が働くためには、治療を継続し病状が安定していることが前提です。そのために定期的な通院時間の確保と、障害や病状に応じた健康・安全上の配慮が不可欠です。
(個別の両立支援の進め方については「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」(厚生労働省)参照)

資料:就業・職場環境に関する担当医への情報提供書(様式案)(PDF:486KB)

あなたが健康への配慮を得るために事業者や職場と行うこと

図:あなたが健康への配慮を得るために事業者や職場と行うこと

②合理的配慮の提供義務

病気による仕事への支障を軽減するため、本人からの相談等だけでなく、事業者や職場の上司からも配慮の必要性について本人に確認し、人事・労務などを加えた関係者間で話し合って配慮内容を決めます。

図:合理的配慮の提供義務

6.事業所が利用できる障害者支援制度について

難病で障害認定を受けている人は、障害状況に応じてスロープや手すり、作業机などの改善等を事業者や職場の上司に申し出ましょう。その際、事業者が利用できる助成制度についてあなたから情報提供しても良いでしょう。

支援機器等の設備改善や配慮 これまでに対象となった病気の一例
ドア、スロープ、駐車場、非常口等の施設改善 強皮症、皮膚筋炎/多発性筋炎、もやもや病、網膜色素変性症、パーキンソン病、後縦靱帯骨化症、混合性結合組織病等
手すり、通路、床面、案内等の施設改善 多発性硬化症/視神経脊髄炎、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎/多発性筋炎、パーキンソン病、後縦靱帯骨化症、慢性炎症性脱髄性多発神経炎/多巣性運動ニューロパチー等
トイレ、休憩所等の施設改善 ベーチェット病、重症筋無力症、潰瘍性大腸炎、クローン病、もやもや病、パーキンソン病、後縦靱帯骨化症、神経線維腫症等
支援機器や道具、作業机等の個別的な環境の整備や改造 多発性硬化症/視神経脊髄炎、全身性エリテマトーデス、クローン病、もやもや病、混合性結合組織病等
コミュニケーション支援やパソコン利用のための支援機器
(ソフトウェアを含む)
筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、もやもや病、網膜色素変性症、パーキンソン病等
誰もが使いやすいユニバーサルデザイン等の機器 筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、もやもや病等
職場介助者等の専門的支援者 筋萎縮性側索硬化症、脊髄小脳変性症、もやもや病等


7.職場での個別調整・配慮の例

対応が困難であると考えられる課題であっても、簡単な配慮で解決できることがあります。次のヒントを参考に職場で個別調整できないか一緒に考えましょう。

雇用管理上の課題 配慮のヒント
健康管理が困難
(休職等の原因となる)
  • 定期的通院のための休暇や早退等の許可
  • 体調悪化の兆しがある場合の早めの通院許可
  • 通院スケジュールに合わせた業務内容の調整
  • フレックス勤務制度の適用
  • 職場の上司や同僚等からの健康管理に必要な通院への理解促進
  • 職場の上司の健康安全配慮、健康状態の確認
  • こまめに報告することを前提とした仕事における裁量の拡大
発症、急な再発/再燃により、入院した際、休暇の制度や職場の配慮に関する十分な情報を知らない状態で、本人が退職を決めてしまう
  • 本人の同意を得た上で、復職までに要する期間、治療の見通しを担当医に確認し、休職中の業務調整、復職後の業務の検討等
  • 休職期間、病気休暇の延長
  • 人事担当者と産業保健スタッフを交えた休職・復職の支援
職場から「辞めて欲しい」等の退職勧奨等により、就業継続が困難
膠原病等により疲れやすさ、関節の痛み等の症状がある場合、立ち作業、運搬作業、職場内外への移動が多い仕事が困難
  • 正確な情報に基づいて必要な配慮を行った上で、就業が可能になるように担当医や産業医、産業看護職を含めて検討
  • デスクワークなど身体的な負担の少ない業務へ配置換えを検討
  • 本人の疲労や痛みの状態によって短時間勤務や途中休憩の検討
  • 職場内の頻繁な移動、階段での移動等、不可の多い業務の免除
  • 運搬等、負荷になる作業が一部ある場合、同僚等に交代・補助を依頼
  • 立ち作業の場合、腰掛椅子の利用を検討
  • 移動の負担軽減のため電動車椅子の利用許可や通路の整備
疲れやすさを特徴とする疾患(重症筋無力症等)の場合、業務内容により週5日、1日8時間勤務が困難
  • 効果的に疲労回復できるよう、横になって休める休憩場所の確保
  • 疲労回復のための休憩を取得することについて、職場の上司、同僚等の理解を促す
  • デスクワークなど、身体的な負担の少ない業務の検討
  • 通常休憩以外の休憩の許可
  • フレックス勤務制度の適用
進行性の疾患(パーキンソン病、網膜色素変性症、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症等)の場合、健康管理や作業遂行面の留意事項が変化する
  • 症状進行の見通しを踏まえ、長期的な視点で職務転換の可能性、継続雇用や退職のソフトランディングの対策をとる
  • 産業医や産業看護職等の産業保健スタッフが配置されていない場合は、地域産業保健センターの産業医、産業看護職と上司を交えて定期面談を実施
  • 症状進行の見通しを踏まえ、長期的な視点で支援機器の整備や職業訓練、職場環境の整備
炎症性腸疾患の症状により外回りの仕事、時間に縛られた勤務が困難
  • トイレ休憩がしやすいよう本人の意見も取り入れた勤務調整
  • 職場の上司や同僚へトイレ休憩について理解促進
  • 身体への負担を軽減するために、おしり洗浄付きトイレを設置する
過労で症状悪化や障害進行の可能性が高まる疾患(多発性硬化症、もやもや病等)の場合、重労働や残業が困難
  • 担当医や産業医からの意見を踏まえ、身体への負荷を軽減する業務へ変更、残業が少ない業務の検討
  • 無理していることが外見からは分からないことがあるため、障害進行を予防するために業務制限の必要性に関する職場の上司や同僚の理解促進
認知機能の障害(もやもや病、パーキンソン病等)により職務への集中が困難
  • 作業内容の単純化や構造化、マニュアル化の促進
  • 継続した業務による負荷を軽減するための休憩の許可
  • 集中力の低下を軽減するためのついたての設置や防音対策の整備
脳血管の障害(もやもや病等)がある場合、一時的な脳虚血による脱力発作で作業に危険が生じる
  • 脱力による事故のリスクがある業務(高所作業、機械操作等)の回避
  • 脱力発作の原因となり得る重労働や、いきみ動作のある業務の回避
  • 単独作業の禁止
免疫機能障害のある疾患の場合、職業生活で様々な病気に感染する危険性が高まる
  • 公共交通機関の利用による感染リスク軽減のため、自宅近く、または通勤に便利な職場への異動や、自家用車通勤の推奨
  • 職場での手洗い等、感染防止策の徹底
  • 空気清浄機等の設置
  • 多くの人たちが集まる場所に行くことや身を置くことの回避

 

事業者が利用できるサービス

難病の発症により、長期(3ヶ月以上)の休職をした労働者に対して、職場復帰のために必要な職業適応の措置(能力開発・訓練、勤務時間の配慮、職務開発等)を実施し、その雇用を継続させた事業者を対象に「障害者職場復帰支援助成金」を活用できる場合があります。

身体障害者手帳を持っている場合は、雇い入れに際しての助成金(ハローワーク)や、職場適応のための介助者や環境整備、雇用継続のための助成金(独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構)を利用できる場合があります。

⃝厚生労働省の助成金に関するホームページ
⃝独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の助成金に関するホームページ

難病のある方への職場における配慮事例のご紹介(厚生労働省/PDF)

8.ナチュラルサポートのモニタリングのメンテナンス

ナチュラルサポートとは、「障害や難病のある人が働いている職場の従業員が、職場において障害や難病のある人が働き続けるために、必要な様々な援助を自然もしくは計画的に提供すること」です。

職場の人があなたを障害(難病)がある人と意識せず、普段通りに自然な状態で受け入れ、あなたが活躍できるようになれば、就職までの支援は成功と言えるでしょう。しかし、その状態は上司や同僚の人事異動や仕事内容の変更、生活の変化等によって崩れやすいものです。そのため、職場だけにとどまらず、会社全体でのフォローアップや継続的な相談支援体制をつくることが重要です。

図:ナチュラルサポートの相談支援体制

図:できていた仕事が困難になってしまうきっかけの例

【コラム】わかり合うコミュニケーションのコツ

「すみません」より「ありがとう」
「すみません」は相手によっては嫌な気持ちになることがありますが、「ありがとう」と言われて嫌な気持ちになる人はいません。サポートや配慮をしてもらったら、「すみません」ではなく「ありがとう」と言う方が気持ちのよいコミュニケーションがとれます。

伝えることは大事
体調のこと、病気のことは他人に聞きにくいものです。難病の症状は、痛み、倦怠感など外見からわかりにくいものも多く、「知っていれば配慮したのに」という場合はよくあります。できること/できないこと、このようなサポートがあると業務がしやすいなど、人事担当者や上司だけに伝えるのではなく、できれば同僚や後輩にも伝えることでスムーズなコミュニケーションがとれるようになります。

感情的にならない
職場には理解のない上司や同僚もいるかもしれません。時には、心無い言葉をかけてくる人もいます。そのような時は、感情的にならずに冷静に嫌だと伝えましょう。黙って我慢していると相手は言い続けますし、感情的なっても反撃してきます。
「やめてください」「私にとっては、とてもきつい(命に関わる、病気が悪化するかもしれない)ことなのです」と冷静に言うことが効果的です。

笑顔
「やめてください」と冷静に言えたとしてもその場の空気は悪くなるかもしれません。そのような時は笑顔です。「よろしくね」と言ってニコッとかわすことで、場の空気が良い方に変わることもあります。

相手の立場を考える
人事担当者や、上司と話し合いをする時には、「お立場もあるでしょうから難しいかもしれませんが」と付け加えると相手も自分の立場を理解してもらえたと思い、あなたのために柔軟に動こうという気持ちになれます。その言動は許せないと思う場面があるかもしれません。このようにして欲しいという要望もあるでしょう。そのような時も感情的にならずに、一緒に考える姿勢を持ちましょう。

【コラム】「難病のある職業人」の先輩に学ぶ

難病のある職業人として活躍している人はたくさんいます。管理職や経営者という立場にある人も多く、事業者の立場に立った助言を得ることもできます。
次のようなアドバイスがありますので、参考にしましょう。

体調管理へのアドバイス

  • 仕事や信頼の「貯金」をする
  • 睡眠をしっかりとる
  • 体のSOSに耳を傾ける

職場の人たちから理解・配慮を得るためのアドバイス

  • 笑顔で挨拶し、人間同士の関係を深める
  • タイミングをみて何回となく「疲れていること」「病気をもっていること」を周囲に思い出させる
  • 理解や配慮を得ることが難しい人たちからは、あえて距離をとる
  • 信頼できる/話せる上司には話すが、そうでない上司には必要最低限とする
  • たとえ健康管理や体調に関することでも、仕事遂行をもっとよくできるようにという視点で相談する

職場の一員でいるためのアドバイス

  • 入院中も復帰後の仕事のことを無理のない範囲で考え、働くイメージをつなぐ
  • 長期入院しても、同僚や後輩などに時々連絡し、概ねの状況を伝える
  • 症状が安定しない一時退院の時期でも、パート等の非正規雇用で貢献できる
  • 聞かれなくても、仕事の進み具合を周囲に話す
  • スムーズな引き継ぎ、チームでの対応を常に意識して仕事をする

9.健康管理と職業生活の両立のための情報

下記は、健康管理と職業生活の両立のための情報提供をしているホームページのサイトです。

①難病の就労支援の情報

②がんの就労支援の情報サイト

国民の6割が罹患するがんは、個人の健康問題にとどまらず、労働力確保に関する事業者の問題にもなっています。厚生労働省は組織的な取り組みをするよう働きかけています。難病とがんとは異なりますが、組織的な取り組みについては多くの共通点がありますので、参考にしてください。